感想:「あなたの人生の物語」(テッド・チャン著、ハヤカワ文庫) (映画「メッセージ」公開に際して)

映画「メッセージ」の原作である「あなたの人生の物語」(テッド・チャン著、ハヤカワ文庫、短篇集『あなたの人生の物語』の一篇)を読んだ。言語学が絡むタイプの小説で、雑にあらすじを書いておくと宇宙人が来てコミュニケーションを図るやつです。言語学云々はさておきおすすめです。

 

以下ネタバレあり。大したことは言いませんが。

あなたの人生の物語

あなたの人生の物語

 

言語学を期待して読んだのだけれども、物理に関することも色々含まれていたのが面白かった。あれだけ言語学に物理にとあると読む人は大変そう(物理に関してはそれほど大したことは言ってないのかもしれないけれど)。発話行為仮説とかも碌に説明なしにあった気がする。すごい。そういえばミニマリズムって抱腹絶倒大爆笑ギャグもあった。

映画公開に際して「サピア=ウォーフの仮説」がちらちらと話題になっていたけれども小説の中には出てこなかった。映画の方ではしっかり出ているみたいなんですかね?サピア=ウォーフの仮説についてなんか言おうと思ったけど原作には出てこなかったので何も言いません。(サピア=ウォーフの仮説がどの程度/本当に否定されているかは個々では置いておいて、)わけのわからない生命体が出てきて未来視までできるようになる世界に対してこっちの世界での「サピア=ウォーフの仮説は否定されている」って批判を持ってくる必要はないんじゃと思うけれども原作には出てこなかったので何も言いようがない。ざんねん。

これが映画化しているということで、叙述トリック的な?部分や認識に関する問題、言語学に関する問題をどう映像表現として扱っているのかという点が気になるけれども、どうせばっさりカットしているんだろうなと思うと悲しい。HPの宣伝映像を見た感じ、全く別の物語として成立している感があるので、そのうち映画も見たい。